SharExperience

日々の暮らしで見つけた「誰かの役に立つかも」をつづります。

クリスマスの蝶より

今週のお題「あの人へラブレター」

ある年のクリスマスイブ。

一人旅をしていた私は東南アジアの某国にいた。

明日がクリスマスとは思えない、真夏の朝。

親切な中華系のオーナーが経営する安宿に泊まり、
共有スペースのパソコンでメールを打っていた。

しばらくすると、隣のパソコンにひとりの男性が座った。
中東系か、ラテン系か、一目ではわからない不思議な顔立ち。

彼はネットで調べものをしているようだった。
これから行く場所のリサーチでもしているのだろう。

さして気にもせず、日本へのメールを打ち続けた。



「どこから来たの?」

人懐っこい笑顔で声をかけて来たのは向こうだった。


私たちは簡単な自己紹介をし、
今日の予定だとか、おすすめのレストランや名所だとか
現地の情報を交換しあったりした。

トルコからやって来たという青年は、
長年銀行に勤めていたが、単調な毎日の繰り返しに嫌気がさし
会社を辞めて世界を放浪しているという。

アジアにやって来たのは初めてで、
人々の親切さや、美しさに感動していると言っていた。
特にベトナムで出会った少女の澄み切った瞳には心を奪われたそうだ。

「世界を放浪する人」の典型のような人だなあ・・
と思って彼の話を聞いていた。
その口ぶりはまるで純粋な少年そのもので、
うらやましくなってしまうほどだった。

話の流れでお互いのデジカメを交換し、写真を見せ合った。
これはすごくいい写真だとか、この場所はすばらしいとか、
パソコンでの用事を忘れてすっかり話し込んだ。

先に席を立ったのは私だった。

もう少し話をしていたかったけれど、
その日は遺跡に行く日帰りツアーに参加する予定があったからだ。

別れ際に彼は私を翌日の夕食に誘い、私は快くお受けした。

そして、浮き足って遺跡ツアーへと出かけた。

つづく。