SharExperience

日々の暮らしで見つけた「誰かの役に立つかも」をつづります。

クリスマスの蝶より(2)

今週のお題「あの人へラブレター」

 

前回の続き。
 
クリスマスを南国で迎えるのは初めての経験だった。
 
外は汗ばむ陽気だし、建物の中は冷房地獄。
前日に宿であった青年に食事に誘われたものの、
日本で生まれ育った私はクリスマスを意識することのほうが難しかった。
 

 

彼と落ち合ったのは、繁華街にあるイタリアンレストラン。
屋台が多い国だったので、レストランとなるといわゆる洋食が多い。
連日安くて美味しい屋台飯に舌鼓を打っていた私だったが、
この辺でパスタも悪くないな、と思えるタイミングだ。
 
ワインを飲みながら、昨日の続きを話し始めた。
続きといっても具体的なトピックはなかったのだけれど。
相手のことを知るための質問をしているのに、そのひとつひとつの会話は、
ずいぶん昔からお互いを良く知っているように心地良かった。
 
彼は東南アジア諸国を巡ったあとは、日本に行く予定だと言った。
 
「今のところは東京、京都、沖縄に行こうと思ってるんだけど、
 僕のプランはどうかな?」
 
「なかなかいいんじゃない?東京ではいいガイドがついてるし。
 どんなことに興味があるのか事前に教えてもらえれば、特別プランを用意するよ」
 
そんなやり取りをした。
彼はこちらが照れてしまうほど嬉しそうに私の目を覗き込む。
 
正直なところ、パスタもピザも味はよく覚えていない。
ワインはとても美味しかった。
美味しくて、どのくらい飲んだかは覚えていない。
決して泥酔という訳ではなくて、素晴らしいホロ酔いだった。
 
デザートに何をオーダーしたかも記憶がないほど会話が弾み、
紅茶を飲み終わって店を後にした。
 
そして、クリスマスの夜が始まった。